
さて、「大谷園茶舗」の「京番茶」はいかなるものだったか?
実はあまり期待していなかった。番茶=野蛮な茶(こらこら^^;)ではないが、「番」のついたものは粗末なもの、二級品というイメージに囚われていたのである。値段もとびきり安かったし。
ところが、紙袋を開いて、まずその香りにびっくりした!燻製?かと思うような個性的で刺激的な、煙臭い匂いが立ち上る。どこか、スコッチウイスキーに似た、限りなく大人の嗜好をくすぐる香りなのだ。
そして淹れてみて、香りとはまた違う、あっさりした味に驚く。カフェインも少ないらしく、味はまろやかに澄んでいて、水のように飲めるのだ。はっきり言って、めちゃくちゃ、わし好みである!
これはただものではない、と思って調べてみた。
一般的な番茶は、煎茶用の茶木から、煎茶用の葉が摘まれたあと、その下の葉を摘んで作られる茶である。蒸してから揉んで葉に撚りをかける事が多いようである。
京番茶は、玉露用に日光を遮断した「覆下(おおいした)園」という茶畑で育った茶木から、玉露の茶摘が終わったあと、葉・枝・茎を摘み、揉まずにそのままの形で乾燥させ、強火で炒って仕上げるそうである。だから、いり番茶、とも呼ばれる。ほうじ茶は機械で焙じることができるのだが、京番茶は人が鉄板で炒らなければだめだとか。
京都生まれ京都育ちのマリンバ奏者でエッセイストの通崎睦美さんや、「京都人だけが知っている」シリーズの入江敦彦さん、さらに、京都で歯科医を開業しつつ旅のエッセイで知られる柏井壽さん、皆、その著書で、京番茶への愛着を語っておられる。
「うちでお茶といえば、この毎朝わかす一保堂のいり番茶をいう」(通崎睦美・天使突抜一丁目)
「優しくて控え目でカフェインも少ない番茶はお茶というより京都人にとって水に近い存在なのだ」(入江敦彦・京都人の秘そかな愉しみ)
「燻した香りは慣れないと臭みを感じるようだが、慣れればこの芳ばしさに夢中になる。葉巻にも似て、しかし畦道の焚き火の後に最も近い香りで、ほっこりと京都の食事を終える。」(柏井壽・京料理の迷宮)
で、お三方共に、愛飲する京番茶は「一保堂」製なのだそうだ。
それはもう、寺町二条に実に風格あるお店を出している一保堂は、名店である。入江さんや柏井さんが絶賛する京料理店「草喰なかひがし」でも、食後に出てくるお茶は、このお店の京番茶なのだとか。
一保堂でも、京番茶は安い。大谷園のものと、どっちが美味いだろう?飲み比べてみたい気もするが、比べてもやはりわしは、最初に感動した大谷園のを買い続けると思う(^^)
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