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2006.11.04

京都と「作家」 その6 長田幹彦

Giontatumi

さて、「祇園」で思い出される作家は、長田幹彦である。

え?知らないって?
まあ、作家・長田幹彦と言われるとなかなか思い出せないであろう。
この人は、「祇園小唄」の作詞者なのである。

 月は朧に 東山
 霞む夜ごとの かがり火に
 夢もいざよう  紅ざくら
 忍ぶ思いを 振袖に
 祇園恋しや だらりの帯よ

を1番として、4番まであるこの歌、京都というと誰もが思い浮かべる歌の一つであろう。(作曲は佐々木紅華)
実はこの歌は、映画の主題歌であった
それも、長田幹彦が書いた小説を原作とした映画だったのである。
小説のタイトルは「祗園夜話」
映画のタイトルは「絵日傘」
昭和5年に作られたそうである。映画と共に歌は全国に流れ、京都の花街を象徴する歌になった。

何しろ無声映画の時代の作品で、映画はわしは見たことがない。
そして、彼の書いた小説もまた、今では書店ではまず、見る事がない。
しかし、長田幹彦は大正時代の売れっ子作家で、「祗園」「祗園夜話」「祗園情話」など、祇園や舞妓さんを題材にした小説をあまた描き、人気を博したそうである。さらに、歌謡曲の作詞家としてもヒットを飛ばし、大家だったらしい。ついには「新金色夜叉」という自作の映画監督までやったとか。
作詞家としてはなんと、わしの故郷、長野県飯田にも関わっている。
飯田の観光名所:天竜峡には、「天竜舟くだり」という、京都の保津川くだりと同じような舟の遊覧があるのだが、天竜峡と船くだりを宣伝しようと作られた歌「天竜下れば」の作詞者が彼だったのだ。(ちなみに作曲は中山晋平)
こっちの歌が作られたのは昭和8年。芸者・市丸という人が歌って大ヒットしたという。

長田幹彦の小説は、大正12年に6巻の全集、昭和11年にも15+1巻の全集まで出ている。しかし、いまや見つけることすら困難である。京都の図書館で検索してみたら、他の作家と一緒に収録されているアンソロジーで、なんとか代表作くらいは読めそうだ。
それでも、祇園は律儀に彼を顕彰し続けている。
昭和36年に円山公園に「祇園小唄」の石碑が建てられ、平成14年からは11月23日に、「祇園小唄祭」が碑の前で行われるようになった。吉井勇を偲ぶ「かにかくに祭」(11月8日)は、祇園甲部の芸妓さん舞妓さんが献花するが、こっちのほうは五花街が毎年交替で行うのだそうだ。
で、いかにも京都らしい、でも凄いことに、長田幹彦が祇園小唄を作詞した場所である、祇園のお茶屋「吉うた」というお店は、創業100年の今も繁盛しており、お店のホームページまであるのだ。祇園小唄の原文もお店に大切に保存されているとのこと。ちなみに長田幹彦の小説も、こちらのHPで少し読む事が出来る。

小説は忘れ去られたが、祇園小唄は京都の花街と共にこれからもあり続けるだろう。
長田幹彦は、円山公園に石碑が建てられた3年後に他界した。

さて、京都と「作家」としてはこれだけ揚げれば十分であろう。
しかし!長田幹彦という人は、それだけでは済まないのである!
この人、なんと晩年は「心霊」に深く興味を示し、「幽霊インタービュー」「心霊」「心霊五十年」「私の心霊術」などという著作を著し、『超心理現象研究会』なるものを主催して、日本有数の心霊研究家だったというのである。
そちらの方面は、今のところわしの関心と知識範囲の及ぶところではないです(^^;)。

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コメント

祇園小唄は知っていますが、長田幹彦氏の名前は、全然存じませんでした(汗)!
当然、「祇園小唄祭」も知らなかった・・・苦笑。
龍3さんは、色々な京都関連の知識を教えてくださって、勉強になるわ~w
ところで、こういうのも、京都検定には出てくるんでしょうか?
というか、今度、奈良も「まほろばソムリエ」などというン番煎じのご当地検定があるのです。
私は受ける気ないけど・・・というか受ける気力がない。
京都のもそうなのでしょうが、すんごい分厚い参考書で、見ただけでポイッです(爆)。

投稿: よりりん | 2006.11.05 00:51

よりりんさん、長田幹彦は、ほんとうに人気だったのに見事に忘れ去られた典型のような作家で、わしも、京都の勉強をするまで全く知らなかったのです(汗)
「祇園小唄祭」もまだ今年で4回目で、「京都検定」の公式テキストにも載っておりません(笑)が、1級2級には、テキスト以外からもでてくるんで油断はなりませんな。

ただ、わしが京都検定に挑戦するのは、最初に受験する前に書きましたが
「お上が『京都通』の認定をするなんて、不届きな話や。そんなゴーマンな検定とやら、受けてたって粉砕したろやないけ!」
というスタンスなのであります(笑)。ともすればその初心を忘れて『受かりたい』という欲が先に立ちますが(苦笑)

投稿: 龍3 | 2006.11.05 01:06

20代の頃にほろ酔い気分で
店の女の子と夜の新橋を
小唄擬きで歩いた覚えがあります。
ほんま、若いのになんでこんな歌知ってんの?
てね。
TBありがとう

投稿: 松風 | 2006.11.05 21:13

松風さん、祇園小唄さえも、「若いのに何でこんな歌知ってんの?」になってしまっているのでしょうか?
ううむ、悲しいぞ・・・
東山の月は今も変わらぬ美しさなのにね。

投稿: 龍3 | 2006.11.05 22:53

「祇園小唄」知っています!知っています!
「天竜下れば」も知っていますよ!
わたくし、懐メロにはめっぽう強くて
知らない歌は無いくらいでございます!!
最近の歌はからっきしダメですが(^_^;)
昔の歌ってなんか情緒があって好きですね。

しかし、長田幹彦と言う小説家の名前は知らなかったです。

投稿: れこりん | 2006.11.08 15:57

れこりんさん、懐メロで知らない歌はない、というのは素晴らしいと思います。言うて見れば伝統文化をしっかり継承しているということでしょう。
わしも、最近のうたはからっきしダメと思っていますが、町に流れる歌には時々、心の琴線に触れるものがあり、少しずつですが好きな歌は増えます。きっとそれもいつか「懐メロ」になることでしょう。

長田幹彦の小説は、ほんまに忘れ去られ、でも祇園小唄は永遠です。その辺が、文化・芸術の不思議なところでしょう。

投稿: 龍3 | 2006.11.09 08:56

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