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2006.07.17

随想・祇園祭 その六

祭囃子遠く

今年の祇園祭、わしは、宵山も行かなかったし、巡行も見に行かずに終わりそうである。
うねる人の波、揺れる駒形提灯、夢幻の音楽のように響く祇園囃子、あの熱気と高揚と、路地裏の闇の懐かしさを味わうのは、年に一度の大いなる喜びだから、本当に残念だ。

祭りの魂は変わることなく受け継がれていると思うけれど、
失われて戻ってこないものもあるのは確かだ。

山・鉾の立ち並ぶのは東は烏丸通、西は油小路通
北は姉小路から、南は高辻通。
それらの中で一番、山・鉾が多く建てられて並ぶのは、烏丸通の一本西側、室町通である。
「室町」と京都で言えば、呉服関係の旦那衆のまちである。
問屋が立ち並んで、長く京都経済の中心、栄華の象徴というべきお金持ちのまちであった。
政治を動かすのも、花街で散財するのも、文化を担うのも、ここの旦那衆だったのである。
宵山の屏風祭りに、秘蔵の屏風絵や陶磁器やらの美術品を飾るのも、そうだった。
その繁栄は、わしの聞く限り、衰退の一途である。

山や鉾や、幾多の神事は、必死の努力で伝えられてきている。
けれど、かつて、わしの目を楽しませてくれた屏風祭りの商家の幾軒が、あのままに生き残っているのだろう。

山科でも、今日は、宵山を楽しみに行く娘さんたちの浴衣姿が目に付いた。
素材も着こなしも、わしの目には珍奇に映る浴衣が多かった。
「室町」の流通ではないキモノなのかもしれない。
いや、おそらくほとんどが、そうなのにちがいない。
祭りは、「ハレ」の一瞬であるが、それを担うのは日々営々と生きている地元の人間である。
いまの祇園祭を担っている人々は、どんなだろう・・・と思う。

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コメント

今日は、祇園祭の本日ですね。
でもあいにくの雨ですが大丈夫なのでしょうか?
わたくし山鉾巡行はまだ一度も見たことがないのでございますよ。
いっぺん行ってみたいなぁと思うのですが
多分人人人でいっぱいやろうなぁ~と思うと気後れがして。。。

投稿: れこりん | 2006.07.17 12:05

今年は曳く方も観る方もびしょぬれでした。(笑)
私の知っている、お囃子や曳き手をしている人は、みんな勤め人ですよ。(^-^)
お稚児さんは、お商売されているところのおぼっちゃまですが。

投稿: winter-cosmos | 2006.07.17 18:40

京都に住んでいた4年間、祇園さんも大文字焼も一度も見たことがなかった。家業の関係でやむを得なかったのだが、せめて一度だけでもあの雰囲気を味わいたかった。
四条通をデモでもないのに歩けるなんて。羨ましい。あの祭りのパワーは日頃のケの時にため込んでいるから、京都の街は陰鬱なのかも知れない。ハレの時に弾ける感じがぜひ見たかった。

投稿: takebow | 2006.07.17 20:55

あ~、やっぱり文章が詩的ですね~w
去年も、こちらで祇園祭のことを読ませていただいたのを思い出します。
ハレの祭りが賑やかで楽しいほど、終わった後の焦燥もありますよね。
または、日ごろの焦燥を忘れるために、余計に盛り上がるのか?!
なんにせよ、お祭りは楽しいですが、終わった後、「あ~、終わったな・・・」とミョーな感慨が生まれます。

投稿: よりりん | 2006.07.18 08:30

☆れこりんさん、恐るべき人の多さと暑さで、メチャ体力は要りますが、観ておく価値はあるお祭だと思います。「優美」と形容されることの多い山鉾ですが、もともとあれは、疫病神をやっつける巨大戦車のようなもので、勇壮ですよ。

☆winter-cosmosさん、トラックバックもありがとうございました。鉾町が空洞化して、ボランティアなどに頼らざるを得たくなってる話は随分前からありますよね。現代の一般庶民=勤め人がお囃子や曳き手の主役であるのは、当然でもありましょうし、時代に合わせて祭りも変化していくのですね。
びしょ濡れの曳き手さんたち、頭が下がります。お疲れ様でした。

☆takebowさん、祇園祭はよく行ったけれど、わしもお盆は必ず実家に居るので五山送り火は数えるほどしか観たことがないです。祇園祭は、宵山や巡行だけでなく、山ほど行事がありまして、七月最後まで続いています。勇壮に神輿もあばれます。京都の町の印象は陰鬱なところがあるかもしれませんが、京都の人の多くはちっとも陰鬱ではないですよ。わしはここんとこ、かなり陰鬱になってたけど(苦笑)

☆よりりんさん、ちゃんとお祭で弾けることが出来なかったせいか、わしはここんとこ落ち込んでしまってました。祭りの後の寂しさは好きですが、ハレの場を味わえずに落ち込むとミョーに深くず~~~~~~んと(苦笑)

投稿: 龍3 | 2006.07.19 23:38


来週は大阪の天神祭、
見られたことありますか?
いやぁ~~~とくに水都祭は凄いですよ。
ま、一度行ってください。
わんさか人が溢れてます(笑)

投稿: 松風 | 2006.07.20 22:42

松風さん、わし、天神祭を含め、ほとんど大阪の風物をじっくりあじわったことがないのです。
用事で行って来るだけで、なんと大阪で泊まった経験皆無。
これじゃあきませんな。余裕が出来たら、こってりと大阪経験をしたいものです。

投稿: 龍3 | 2006.07.21 01:10

昨日、祇園祭鉾町に住んでおられる若い女性の方とお話する機会がありました。
「生稚児さんって学校はどうするの?」なんていう私の馬鹿な話から始まったのですが、実際、生稚児に選ばれるのは名誉な事だけどもいろんな面、経済的なコ事も含めてかなり大変なようです。 選ばれても辞退ということがたびたびあるそうで、ま、想像していた通りではありました。

 それと「祇園祭を楽しむなら夜がいいですよ」と言うお話。
夜も23時位になると すぅ~と人がひき、それなりに行われている催しが見られるし、また灯がポツポツと消えていく姿がなんとも言えないそうです。
 私の場合、宿泊か家族の送迎がないできない話ですが、いつかそんな風景を楽しんでみたいと思いました。

投稿: yume | 2006.07.23 15:40

yumeさん、長刀鉾のお稚児さんは確かに生半可な家の子では経済的にも耐えられぬようですね。それでもあの稚児は神の化身、「ほかより恵まれた子は たくさんの恵まれん人たちのために 稚児になるんや。 稚児になって災いの種が失くなるよう、神さんに祈りを奉ずるのや!」(小学館刊 細野不二彦 マンガ「ギャラリーフェイク」第30巻・稚児迷走より)ですよ。

祇園祭の深夜、確かに良いと思います。「日和神楽」といって、宵山の賑わいの後、囃子方が鉾を降りて八坂神社まで台車に提灯、鉦をぶらさげて祇園囃子を奏でながらおまいりするのをみたことがありますが、なんとも良い雰囲気ですね。

投稿: 龍3 | 2006.07.24 00:09

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 朝からの強い雨で、人出はたいしたことないのですけど、傘でさえぎられて、観る場 [続きを読む]

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