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2006.04.12

「人生を<半分>降りる」という本

友人に勧められて読んだ本があまりに面白く、かつ人生に刺激を与えてくれたので、感想をblogで書くと約束した。しかし何やかやバタバタしていてUPする機会がなく、やっと強引に書いてみる。

「人生を<半分>降りる -哲学的生き方のすすめ-」
新潮OH!文庫 581円
著者は 中島義道。「好き勝手なことを言う男」という肩書きが付いている(笑)

人生を「ほとんど」降りているようなわしにとっては、なんということもないタイトルなんだが(爆)
この哲学者が提唱する「半隠遁」という生き方は、これこそがまともな生き方ではないかと思わされる。
この本の主張をまとめてしまえば、194ページに書かれているこの数行に尽きるのではないか。

「べつに大学や会社に辞表を叩きつける必要はなく、月給だけもらってナルベク好き勝手なことをする。そのためには細かな計算をして、『必要がない』と思ったことからはサッサと手を引く。そして、できるだけ人付き合いを制限し孤立して、『自分が生きておりもうじき死ぬこと』を考える。たえずこのことを考える。そして、このことをつねに見据えながら、残りの人生何をすべきか考える。」

著者は哲学の最も基本は「人生とはなんなのだろう?そして、ほんとうに死んだらどうなるのだろう?」ということを探求することであると言う。しかし、哲学を専攻しても本当にこれを考える時間は少ないのだ。
「講義の準備をしたり、研究会を組織したり、翻訳を手がけたり、事典の編集をしたり、他人の論文の審査をしたり・・・」「これらすべてが、『哲学』とは縁もゆかりもないことではないのか?」

そんな、誰か他の人がやっても全然かまわないことは放っておいて、『自己中心的に』本当にやりたいことをやりなさい、そのためには、なるべく人付き合いを断って半隠遁しなさい、というのである。

脳梗塞で死にかけた時に、わしは痛烈に「残っている人生の時間」を意識した。
やりたくないこと、嫌なことをやってる時間のくだらなさというか・・・恐るべき浪費を自覚した。
この本では「半隠遁」というのは、
 ☆どんな分野においても要職に付かない、人の上に立たない、指導的地位に付かない
 ☆半分は社会的に生きて生活を確保するが、繊細な精神、批判精神を失わず、自分の内部の声をごまかさずに、世間と妥協しない。

とうことであるようだ。おおいにうなづける意見である。
で、わしは主観的には、このような状態にあるとおもってきたのであるが
わしにとって、非常に耳の痛い意見もこの本には多く書かれている。

「ものを書き、発表・刊行することは非常に傲慢で下品なことである」
「一流の学者、芸術家ほど、必然的に孤独に傲慢に偏屈になり、人間としての魅力は下落していく」
「一方現代日本では、日々の生活に喘ぎ老後を心配し学力もなく特殊才能もない庶民=大衆だけが発言権を持っていて、えらい人を罵倒し、えらくない人の立場でしかマスコミの発言はない」

決まり文句でモノを言うことをわしは大変嫌い、京都に関する発言も、極力決まり文句を避けてきた。
しかし、まだまだ、繊細な精神、批判精神、懐疑精神が足りないと、この本を読んで自覚させられた。
さあ、今から、残りの人生、何をなすべきか、真摯に考え実行しよう。

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コメント

実は今 職場での人間関係に悩む日々です。
ひいては、「自分とは。。」と考えます。
言いたいことを言うことの出来ない自分。
それが諸悪の根源であることはわかっています。

こんな歳になっても自分という人間が確立できていないために悩みます。傷つきます。怒ります。
顔で笑って、苦しい日々が2.3ヶ月続いています。

そんな私にとってこの本は何か、役に立つかも知れないと思ってしまいました。

投稿: yume | 2006.04.12 23:00

yumeさん、あなたも人間関係でお悩みだったのですか。
繊細な人間ほど人間関係に悩み、深く傷つきます。「自分という人間が確立できていない」ことはおそらくないでしょう。
わしもかつては職場で人間関係でトラブル続きでした。そのときの遺恨怨恨は、いまだに夢で見て歯軋りするほどです。もちろん、自分の未熟・身勝手も多々あったんですけどね。
この本、読むときっと、気分が楽になると思います。

ただ、この本の最後に書いてありますが、世間と妥協せずに生きることは世間的には不幸なことであり、その不幸を噛み締め不幸を自覚して生きることになるんですけれど。

あなたを人間関係で悩ませている相手も
そしてあなたも
わしも
ほんの限られた時間を生きているんです。

投稿: 龍3 | 2006.04.13 00:02

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