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2005.10.01

霊雲院の不思議な庭

京都案内の再開は、東山区本町にある東福寺の塔頭のひとつ、霊雲院。
毎日、東福寺の境内を通っているわしだが、ここはちょっとメインルートから外れている感があり、まだ拝観してなかった。
長い石畳の道の奥にひっそりとあって、「別天地」の風情がある。

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さて、ここは書院の前の「九山八海の庭(霊の庭ともいうらしい)」と称する庭園が見所なのだが、第一印象は、かなり雑然として見え、「もう少し石や樹木を減らしたほうが・・・」などと思った。

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しかし庭園の中央、白砂のなかに異様なものがあるのである。

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これは、「巍々として聳える須弥山」を象徴する石だそうだが、なんとも無機的な土台と受け皿に乗っかっているではないか。最初、コンクリートで作ったのかと思った。
渡された説明リーフを見てみると、これは「遺愛石」というもの。この塔頭の第七世の住職と親交があった大名・肥後の細川家が、庭にあった貴石に台と石舟を作ってセットにして贈ってきたものだという。
この石が珍重され、名高い庭だったものの、後年すっかり荒廃してしまったのを、東福寺のあちこちの庭の作成、修復を手がけた異才・重森三玲によって、ここも復活したのだそうだ。

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そういわれて見ると、九山八海の庭も、その西に続く「臥雲の庭」も、砂紋や石組みに、まさしく重森三玲らしいモダンな感覚が滲んでいる。

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書院庭園の隣には、「観月亭」という日本でも数少ない二階建ての茶室がある。写真では隠れてしまっているが一階の端には丸窓もあり、桃山時代の「北野大茶会」当時のものだという。実に味わいある建物で是非中に入ってみたいものだが非公開。庭といいこの茶室といい、もうすこし整備して宣伝すれば、ここはかなり注目を浴びるのではと思うが、わしの拝観中、他には一人しか拝観者がこなかった閑寂さだった。

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あと、特筆すべきものは、これ、日露戦争で捕虜となったロシア兵が作った楽器である。
なんと、当時、東福寺には1500人もロシア兵捕虜が収容されていて、霊雲院には50人が寝起きしていたという。8ヶ月の収容生活のなか、彼らは日用品から楽器まで手作りし、異国の禅寺の暮らしに耐えたのである。
こんな歴史の断片が埋まっているから、京都のお寺めぐりはこたえられない。

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コメント

> 毎日、東福寺の境内を通っているわしだが
というのがとても羨ましいです(笑)。

ここの庭も、文中に書かれているように重森三玲氏らしい庭なのですが、以前はあまりそういうものを好まなかったんですけれども、最近はいいんじゃないかと思うようになりました。

投稿: karesansui | 2005.10.01 10:30

karesansuiさん、やはり身近にありすぎると、ありがたみがわからなくなっていくもので、karesansuiさんはじめ、皆さんのblog、サイトで目覚めさせてもらうことが多いです。

重森三玲の作庭、あまり庭園に詳しくないわしですが、アニメチックで面白くて、実にしっくりくるのであります。いつまで経っても大人になれないかな(笑)

投稿: 龍3 | 2005.10.01 23:56

最後の写真はバラライカですか。東福寺にそんな歴史があったとは知りませんでした、びっくりです。驚いたのでネットで調べたら、そのロシア人捕虜のトランプ遊びのために日本ではじめてトランプを作ったのが任天堂だっていうのも出てきました、ほんと歴史っておもしろいですね。

投稿: piita | 2005.10.02 02:01

東福寺にはたくさんの塔頭があってなかなか全部を見せていただくに至っていないのですが、どこもそれぞれに静かないいところのようですね。
地図で確認しました。駅から近く、東福寺、天得院に行くまでですね。
人が多くなる前にまた一度あのあたりも訪ねてみたいと思います。

龍さんが戻ってきてくださるとまたあのあたりが近くなりました。

投稿: yume | 2005.10.02 20:25

>piitaさん、そうです。上がバラライカで、下がバイオリンのようです。ニスも塗っていない、ほんまに手作りの素朴なものでした。
任天堂のトランプ作りのきっかけというお話、わしも全然知らず、驚きです。ほんま、歴史というのはいろんな思いがけないことの関わりで出来てるんですね。

>yumeさん、紅葉の季節になると、たしかに東福寺はすごい人出ですね。多くの塔頭、わしもまだ全部見てません。焦らず、縁を待ちながら、見て行こうではありませんか(^^)

投稿: 龍3 | 2005.10.03 01:19

龍さんの記事を拝見していると、興味が湧いてきて行ってみたくなりますね。見落としそうな事柄も、龍さん興味に感染して見所が増えます。感謝。
伝統あるものに現代のデザインを組み合わせるのは嫌いではありません。中途半端はかえって気持ち悪いので、のびのび創ってあるものに好感をおぼえます。

投稿: pastorella | 2005.10.03 02:14

pastorellaさん、おおきに(^^)
おっしゃるとおり、重森三玲の庭は「伝統あるものにモダンなデザインを組み合わせる」ものだと思います。
その点、ここの庭は中途半端な段階に思えて、「もっと整理したら・・・」などと、素人が不遜な感想を持っておるのです(^^;)

投稿: 龍3 | 2005.10.03 02:38

京都案内再開とは
頼もしいですね。
しかし、なんともユニークな庭ですねぇ
とくに遺愛石は面白い!
石舟に乗りたくなる(笑)

投稿: 松風 | 2005.10.03 19:35

松風さん、おおきに(^^)
あの石船、ちょいと遺愛石を取り外し、お湯を張って月光の下などで浴槽に使うと気持ち良さそう・・・なんですが、実際はそんなに大きくないです(笑)

投稿: 龍3 | 2005.10.04 01:02

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