
詩集 優しき歌
Ⅱ 落葉林で
あのやうに
あの雲が 赤く
光のなかで
死に絶えて行つた
私は 身を凭せてゐる
おまへは だまつて 背を向けてゐる
ごらん かへりおくれた
鳥が一羽 低く飛んでゐる
私らに 一日が
はてしなく 長かつたやうに
雲に 鳥に
そして あの夕ぐれの花たちに
私らの 短いいのちが
どれだけ ねたましく おもへるだらう か
☆作者・立原道造について
1914年、東京日本橋に生まれる。
中・高校生時代は短歌を志したが、のち詩作に転じ、堀辰雄、室生犀星に師事。
処女詩集「萱草に寄す」を刊行して二年後の1939年、25歳で早世。
コメント
立原を初めて読んだのは高校1年の頃、うまく言えませんが、彼の詩と私の間には薄いオーガンジーのカーテンが風に揺れていて、その感覚が詩そのものよりも好きでした。
投稿 pastorella | 2005.10.09 01:55
pastorellaさん、光沢があって柔らかく細かなオーガンジーの網目を思い浮かべつつ、また詩を読み返しております。
「詩そのものよりも好き」という感覚、なんとなく判る気がします。詩集に載っていた追分の写真とか、読んだ日の気分とか、そういうものと不可分なモノ。
投稿 龍3 | 2005.10.10 01:10