小説「流れのほとりで」第七回
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英輔の言葉に、美沙子は喜びの色を浮かべて、紅茶を啜った。
「今日、そのいんちきな仕事の打ち合わせに行ってるけど、夜にはまた、恩田に会ってそう言ってくださらない?」
「いいですよ。」
英輔は軽く応えたが、美沙子は信頼しきった様子で、少女のように目を輝かせる。
「憧れの街だわ、京都は。わたしみたいはおばさんはもちろん、若い人にだって、そうなんだから。・・・ほら、舞妓さんにしてくれるっていうか、舞妓体験、舞妓変身どころ、っていうの、あるでしょ?あれ、人気なのよね。わたしももう少し若かったら、やってみたいと思った」
「あれですか・・・僕らは、ニセ舞妓って呼んでますが」
英輔は苦笑した。そして、遥かな記憶が蘇って、知らず知らず口調が鋭くなっていた。
「最近はほんとに、化粧の仕方、自毛で髪を結う方法なんか、本物そっくりになってますけど、ニセモノだってことは地元の人間には一発でわかりますよ。本物はね・・・あの、高いおこぼって下駄で、走るように歩くんです。出来ますか、素人にそんなこと?・・・本物の舞妓は、自分の時間なんてないですからね・・・いつも追われるように急いで、京都の花や景色を見に行くこともなくて、屋形とお茶屋、狭い花街のなかだけで青春を潰して」
あっけにとられて見つめる美沙子に気付いて、英輔は慌てて口を閉ざした。
「南原さんは、舞妓さんのことも、詳しいんですね。個人的なおつきあい、あったのかしら?」
「そんなの、無理ですよ。僕みたいな階級じゃ、お茶屋遊びなんて、一生できません」
「階級って、おおげさね。南原さん、沢井さんのお話じゃ、本職は日本文学の助教授なんでしょ?」
英輔は微かにひきつった笑顔で早口に答えた。
「ええ、学者は貧乏なものと決まってますよ。さて、夕方までまだ時間がありますね。どんなところをご案内しましょうか」
陽気に声を上げながら、英輔は脳裏に浮かんだ面影を振り払おうとしていた。ふく髷に結い上げた髪、白塗りと紅の下に輝いていた誇り高い表情、憧れ、恋慕したただ一人の妓・・・
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コメント
龍3さん、このたびはトラバでお世話になりありがとォ~ございました!
訪問してびっくり!
舞妓さんやァ~★
龍3さんは小説を公開してるのね♪
舞妓のネタが出てくるなんて、やっぱり京都ならではっ!!
デニッシュ食パン‥私も大好き!!
カロリー高いから私もたまにしか買えへんけど♯
投稿 fuzika | 2005.04.22 13:26
fuzikaさん、コメントおおきに!
実際に舞妓さんだった方に来てもらえて、感激しております。
わしが書いてるのは、好き勝手な妄想を文章にしてるような小説ではありますが、今後ともよろしゅうお願いします。
ここんとこ、花粉症でパワーを失ってるので、祇園でデニッシュ食パン買ってきて頑張ろうかな(笑)
投稿 龍3 | 2005.04.22 13:50