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2005.04.15

京都と中国の絆

yurinkan

平安神宮を中心に、桜見物の人々で賑わっている左京区岡崎。琵琶湖疏水には、十石舟が浮かんで、岸辺の桜を愛で、花吹雪を浴びながら優雅に行き来している。
そんな中、京都国立近代美術館から疏水と道路を隔てて南側に、不思議な建物があるのをご存知だろうか?
凝った装飾に彩られた四角いビルの屋上に、八角形の屋根を持つお堂が載っている。
「藤井斉成会有鄰館 (ふじいさいせいかいゆうりんかん)」という、美術館なのである。
わしは昔、この建物を能楽堂だと勘違いしていたが、藤井紡績の創業者・藤井善助という人物が、収集した八千点を超える中国美術品を展示する目的で1929年に建てたそうだ。
そして、ひときわ目に付く、この屋上の八角堂は、なんと中国の北京の故宮=紫禁城の一角にあった建物なのだ!
1924年、当時の北京で道路拡張工事が行われ、紫禁城の西北が一部分削られることになり、そこにあったこの八角堂が、中国大使やその舅であった犬養毅らの斡旋で、京都の岡崎にやってきたのである。
屋根の瓦は、1737年(乾隆2)に焼かれた瑠璃瓦、軒丸瓦には中国皇帝を象徴する五爪の龍の紋様、八角の棟には龍、獅子、麒麟などの「走獣」と呼ばれる魔除け人形が載っている。丸ごと美術品というべきお堂である。

藤井氏は中国の美術・文化を愛し、貴重なこの建物を惜しんで移転を引き受けたのであろう。しかし、その後の日本と中国の関係は戦争へと突き進んで行った。そうなっては、軍国日本が中国の文化遺産を略奪したような形になってしまったのではないだろうか。多大な犠牲と引き換えに、平和は戻った。岡崎の八角堂は、そんな歴史の痛みを刻みながら、両国友好の絆にしていくべきであろう。

今、中国では反日デモが荒れている。
「愛国無罪」などと喚いて乱暴狼藉を働く輩を見ると、感情的に怒りが湧く。
しかし、こんなときこそ、いろんなモノを振り返ってみなければいけないと思う。
岡崎もそうだが京都の桜の名所の一つに、嵐山が数えられるだろう。
その中ノ島公園には、「日中不再戦の碑」が建っている。
桜を愛でる人々よ、岡崎や嵐山には、そんなものもあることを知って欲しい。

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コメント

トラバありがとうございました。

表面的なところだけでなく、個人単位ででも、日中友好を深めたいですね。

またおじゃまします。

投稿: MARGARET | 2005.04.22 17:30

MARGARETさん、ようこそ!
もともと、文化的にも経済的にも濃い交流のあった両国です。今や人的交流も大規模なのに、喧嘩しとる場合じゃないですな。うちの子の保育園のお友だちだって、中国の子、モンゴルの子がいるんですし。
また、是非おいでください(^^)

投稿: 龍3 | 2005.04.23 01:22

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