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2004.10.25

小説・残光(仮)第四十八回

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 救急車で景子は病院に運ばれ、付き添っていった健二は、警察で事情を訊かれる羽目になった。
 解放されたのは翌日の昼過ぎで、街に出ると、祇園祭の山鉾巡行の見物客でごった返していた。
 小路に人波を避けて、健二は携帯電話を取り出す。疲れた表情で空を仰ぐ。
「真那?仕事中に済まないな。詳しいことは後で話すけど、とりあえず、駿の携帯の番号、聞いてないか?連絡したいことが起きた」
 真那はすぐに、駿の携帯番号を知らせてくれ、健二はそれをメモリーする。
「ありがと。で、手短に言うとな。昨夜、景子に八坂神社で出くわした。そう、あの景子さ。
それから一緒に飲んでいたら、俺の目の前で景子は薬物を飲んで自殺を図ったんだ。ああ、命に別状はない。でもな、あいつ、フランスにいた頃から麻薬の常習者で、何度も捕まっていたらしいんだ。からだも精神もかなりやられていて、病院から出てこれるめども、立たないってさ」
真那は絶句したらしく、会話は続かない。健二は大きくため息をついた。
「とにかく、俺から駿にも話しておくよ。そうだな・・・竜生にも言っておくか」
 電話を切り、裏道をたどって健二は歩いた。祭の巡行コースと交わった時には、船鉾が通過するのを目にした。何か、すべてが非現実の景色に見えた。
(何が真実なのか、まるで、わからなくなってきた。詩織は、いつ、どこで死んだんだ・・・それとも・・・)
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