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2004.10.02

小説・残光(仮)第三十五回

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「家族でもないのに、医者が駿の病状を教えてくれたのか?」
ぶしつけな健二の質問にも、美咲は素直に答える。
「普通やったらな、絶対無理やったと思うわ。駿さんに代わって薬を貰いにきた・・・とでも言うて、その薬から病気を調べよう、思た。でも、担当のお医者が、ほんまに偶然やけど、うちの幼馴染やってん。京都は、狭いわ・・・正直に全部話したら、教えてくれたんや」
「原発性肺高血圧症、って聞いたけど」
「うん・・・原因不明で、肺の血圧がたこうなって、心不全になって死んでまう病気やって。百万人に一人とか言う、珍しい病気で、発症したら、二年か、もって十年。そんでも、最近、よう効く薬が出来てるそうなんやけど、駿さんにはなんでか・・・効かへんのやて」

 車は琵琶湖を離れ、京都へと戻った。美咲は東山通りの裏道に乗り入れる。雨が再び降り始めて、道行く僧侶も傘を広げている。
「お昼ごはん、どないする?もう、二時近いけど」
美咲がそう口にして、健二は空腹に気付く。だがあまり、食欲は湧かない。
「適当に・・・そうだな、もうこの辺でいいよ、降ろしてくれ。すまなかったな」
「謝る事あらへんよ、うちが物好きに付き合っただけやし」
照れ笑いのようなものを浮かべると、美咲は前を向いたまま、少し早口に言った。
「良かったら、うちと一緒に食べへん?そのつもりで、こっちに来たんやけど」
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コメント

お久しぶりです。「残光」読んでます。昔の恋人の死。自分はそういう経験をしたことがないので実感としては本当のところはわかりません。けれど、嫌いになって別れたわけではなく今も心にその人がいるなら、「死」という現実になかなか迎え会えないものなのかなと思ったりもします。「喪失感」というんでしょうか。「世界の中心で、」の影響もあるのかな?でも、心の中にくすぶる光の残り香とでも言うんでしょうか、そういう感じ好きですよ。少なくとも私は「セカチュウ」よりこの小説の方が好きです。

今後どういう展開になるのか、楽しみに待っていますね。
では、また。

投稿: miyamo | 2004.10.02 11:09

miyamoさん、コメント、とってもおおきに!
言うまでもありませんが、この小説を書き始めるきっかけになったのは、miyamoさんが前に下さったコメントが大きいのです。そのmiyamoさんに、しっかり読んでもらっているのはもう、何より嬉しいのですわ。
「セカチュウ」の影響は、ドラマの方からかなりあります。
でも、書きたいことは、自分の体験から滲んでくる、感情です。今後の展開、自分でもあまりわかりませんが、頑張って書きますので、ご期待ください(^^)

投稿: 龍3 | 2004.10.03 01:01

>この小説を書き始めるきっかけになったのは、miyamoさんが前に下さったコメントが大きいのです。
え?そうなんですか?自分、なんてコメントしましたっけ?無責任のようですが忘れてしまいました。けれど、そう言ってもらえてとても嬉しいです。
>自分の体験から滲んでくる、感情です。
うわー、いい言葉ですね。「滲んでくる」って。でも、そうですよね。自分の体験からしか本当の言葉は出てこないですもんね。妙に納得させられる言葉です。
>頑張って書きますので、ご期待ください(^^)
必ず読みますので、お互いに頑張りましょう。
では、また。

投稿: miyamo | 2004.10.03 20:46

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