« 小説・残光(仮)第三回 | トップページ | 小説・残光(仮)第五回 »

2004.07.20

小説・残光(仮)第四回

_010.JPE 

----------
 室町小路広場をステージとして、コロシアムの観客席のように立ち上がっていく大階段。その頭上数十メートルを斜めに走る空中経路。健二は視覚を圧倒する京都駅ビルの仕掛けを見上げ、首をかしげる。
 修学旅行生でもあるまいし、そういった場所に、彼女がたたずんでいる気はしなかった。駅ビルには、伊勢丹デパートがあって、その各階には喫茶店があるし、食堂街をはじめ、他にも飲食店は数多い。そのどれかで涼んでいるのか、と健二は考える。それにしても選択肢は多すぎる。
 あっさり降参して、携帯電話をかけたくなったが、健二は思いとどまった。
(多分、しばらくは彼女は電話に応答しないだろう。あいつの声は、何か、普通じゃなかった。あのはしゃぎようには、違和感を感じた。なんだろう?いったい)
 長いエスカレーターで、大階段の脇をゆっくりと屋上に向かいながら、健二は笑顔の観光客を眺める。昨日の深夜届いた、彼女からのメールの文面を思い出す。

   明日、のぞみで京都に行きます。到着予定12:13。迎えに来て。 真那

 ぶっきらぼうすぎるメールに驚いて送った返信に、まったく応答はなくて、さっきの携帯からの電話が、数年ぶりに聞く彼女の声だった。
 塩澤真那・・・健二と共に京都で青春時代を過ごした、大切な「仲間」の一人であり、そして、健二の親友である塩澤駿の妻である。
---------- 

|

« 小説・残光(仮)第三回 | トップページ | 小説・残光(仮)第五回 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/20826/1008588

この記事へのトラックバック一覧です: 小説・残光(仮)第四回:

« 小説・残光(仮)第三回 | トップページ | 小説・残光(仮)第五回 »