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2004.06.23

友へ

あなたの別れた奥さんが呼んでいたように イシさんとあなたを呼んでもいいかな
肩書きを付ければ陶芸家ということになるけど イシさんは自分を「焼き屋」と言っていた
電動ろくろで 精確な椀や急須を何十と造り 横に据えた電気窯で昼夜となく焼き上げていた
どんなに忙しくても 遊びに行くと歓迎してくれて 何時間も話した
家には拾った犬と 半分野良みたいな猫がいて 猫のウンチが粘土に混じったと苦笑してた
酒を飲んで 豚足をかじり いくら話しても飽きなかった
読んだ本は端から捨てるので家には一冊もないと言いながら イシさんはいろんなことを知っていた
愛車はおんぼろのフォルクスワーゲンビートル
僕の結婚式に招待したら 礼服は借りたが靴がないと言って 運動靴を履いてきたね
あなたの若い頃の話はまるで伝説を聞くようだった
結婚したが仕事がなくて 鴨川の上流で芹を摘んで毎日のおかずにしたとか
あんまり摘みすぎて 鴨川の芹は全滅したとか

拾ってきた犬「よっちゃん」はお腹に子供がいて イシさんはその貰い手探しに奔走
タウン誌に載せた情報で電話してきた相手が「どんな純血種?」と聞いたので
「ばかやろー、おれやおまえみたいな雑種だよ!」とわめいてた
何頭かは貰われていったけど 残った子犬をペットショップに引き取ってもらうとき
イシさんは一人で行く勇気がないと 僕を呼んだ
「何日かしたら こいつら保健所行きかなあ」と ビートルのハンドルに顔伏せてたね
僕に長男が生まれて 赤ん坊によくないから飼っていた猫をどうにかしろとばあちゃんたちが騒ぎ
インターネットまで使って貰い手を捜したとき 「いいよ」と言ってくれたのは
イシさん あなた一人だったよ

闘病の日々を僕は知らない
一度も見舞いに行かなかった 悔やんでも取り返しは付かない
優しかったイシさんはもういない
棺の中のあなたをみてから 一ヶ月が過ぎようとしている
あなたにもらったたくさんの陶器
「きずもんやから もってけ」といわれたそれは 今日も僕の食卓を飾ってる
ずっと 宝物だよ

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コメント

龍3さん。
こんにちは、、、

ちょっぴり、
いやいや、
すごく
寂しいです。
私はイシさんは存じあげませんが、
素敵な方でしたね、、、
「たんたん」と生きて、そして逝かれたのですね、、、
昨年暮に亡くなった父を思い出しました。
大往生でしたが、残された私は
やはり淋しい。今もなお、、、
う〜〜〜ん。

イシさんのご冥福を私もお祈りいたします。
今度、鴨川べりを歩くとき、
思い出します、、、
(先日、子どもと映画の帰りに歩きました。)

どうか、、、
龍3さん、お元気で。
それから、坊ちゃん大切に。
では、また。

投稿: せとともこ | 2004.06.24 16:01

せとともこさん、ほんまにおおきに!
イシさんはまだ、50代前半の若さで逝ってしまいました。
わしとはかなり年は離れてましたが、京都で得た、大切な友達の一人でした。
せとさんも、お体大切に。そして参院選挙、がんばって投票に行きます!

投稿: 龍3 | 2004.06.25 00:54

トラックバックありがとうございます。

素晴らしい方だったのですね。
そういう生き方に憧れます。芸術とおなじように日常にも感動できるような人になりたいものです。

投稿: Rough Tone | 2004.06.27 16:27

Rough Toneさん、コメントおおきに!
イシさんの日常生活は、作り出す作品と矛盾なく一体化してるように見えて、羨ましかったものです。でも、そういう暮らしをするにも、やはり様々な葛藤や努力、そして捨てたものも多々あったのではないでしょうかね。
知り合いの気安さで、いろいろ貰いましたが、イシさんの陶芸家としての力量はわしの認識を遥かに上回るものだったようです。
そして「山の中で世捨て人みたいな生活しとったら、ろくなものはできん。京都の町なかで、世の中の一員として生活しとらんと、清水焼は作れん」というイシさんの言葉が思い出されます。

投稿: 龍3 | 2004.06.28 11:22

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