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2004.04.23

敗れし者に

敗れ去りながらも、歴史の流れに一瞬の光芒を残している者に、愛着を覚えてきた。
島左近、という侍がいた。生まれた年は定かではない。戦国末期の大和(奈良県)にあって、筒井順慶という武将に仕え、松蔵右近とともに「筒井家の右近左近」と並び称されたいくさ上手だったらしい。やがて筒井家から離れ、石田三成の懇願でその家老となり、徳川家康に対抗する。そして関が原における奮戦は、敵方の侍たちに語り継がれるほどのものだった。しかし、その最期は不明である。戦死説とともに、落ち延び、生きながらえたという説が幾つもある。
独立した武将でもなく、名乗りも清興、勝猛、清胤、友之などと、文献によって幾つもあって、その足跡もまた断片しかわからないのであるが、ずっと惹かれて来た。
圧倒的な「勝ち組」である家康に、敢然と立ち向かい、義戦に命を賭けた生き方が清冽に思えるのだろう。
ただし、彼も負けることを覚悟して闘ったわけでは無論ない。敗者の無残は身に沁みてわかっていたはずだ。
関が原に敗れ去った石田三成の城、佐和山城は、押し寄せる敵軍に包囲され、留守を預かっていた三成の父・兄をはじめとする一族は自刃。女子供もむごい運命にさらされたに違いない。
戦場で花と散ることだって、言葉のようには美しくない。誰だって、勝って、豊かに暮らして、平穏に余生を送りたい。
しかし、敗れ去るリスクを知りつつも、闘うことを選んだ心意気に、わしは憧れる。
それをかっこいい、と思うからこそ、わしは小説などを書けるのだと思う。
現実追認と「勝ち組」になることだけに意味を見出すひとには、わかってもらえないのかなあ・・・

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